キミとひとつになれたら
「河瀬さん」
ボーっとしてる私に歩み寄ってきて、
「念の為言っておくけど」
私の右手を取り、
「キミは昨日、僕の彼女になったんだからね」
チュッと、手の甲にキスをした。
「……」
どうやら夢じゃない。
現実みたい。
「シャワー、浴びていいよ。おいで」
手を引かれ、1階へ。
家の中は、とても静かだった。
「ねぇ…、お父さんとお母さんは?」
「あー、もう出かけたんじゃない?」
彼は、どうでもよさそうに答えた。
あんまり追求しない方がよさそう。
「はい、ここがお風呂ね」
案内されたのは、広いバスルーム。
「僕は朝ご飯の用意してるから。ごゆっくり」
手を降って、彼は出て行った。
大きく伸びをして、私は制服を脱いだ。
…無断外泊、しちゃった。
兄は、心配してるだろうか?
シャワーを浴びながら、私はついつい兄の事を考えてしまった。