海賊と人魚姫
そして自分に向かってやってきた誰かに気が付いて目を細める。
次の瞬間、誰かの大きな手が、宝物に触れるみたいにしてあたしの頬にかかる。

夢の中のはずなのに、たまらなく満たされた気持ちになる。
次いでなぜか泣きたくなった。

この温もりを、あたしは知っているはずだ。そんなことあるわけがないのに、あたしはそう思っていた。

知ってる。知ってるんだ、きっと……。

夢の中で『誰か』があたしに触れる。
その熱を伝えたくて、あたしは『誰か』の名前を呼びたかった。

世界で一番、大切な名前だ。

そう信じているのに、出てこない。喉から音が生まれない。

違う、あの人は。

――彼は、







< 5 / 5 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

嘘吐きな恋人

総文字数/34,316

恋愛(キケン・ダーク)87ページ

表紙を見る
隣のチャラ男くん

総文字数/5,226

恋愛(純愛)13ページ

表紙を見る
さよならマイヒーロー

総文字数/13,590

青春・友情40ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop