海賊と人魚姫
そして自分に向かってやってきた誰かに気が付いて目を細める。
次の瞬間、誰かの大きな手が、宝物に触れるみたいにしてあたしの頬にかかる。
夢の中のはずなのに、たまらなく満たされた気持ちになる。
次いでなぜか泣きたくなった。
この温もりを、あたしは知っているはずだ。そんなことあるわけがないのに、あたしはそう思っていた。
知ってる。知ってるんだ、きっと……。
夢の中で『誰か』があたしに触れる。
その熱を伝えたくて、あたしは『誰か』の名前を呼びたかった。
世界で一番、大切な名前だ。
そう信じているのに、出てこない。喉から音が生まれない。
違う、あの人は。
――彼は、
次の瞬間、誰かの大きな手が、宝物に触れるみたいにしてあたしの頬にかかる。
夢の中のはずなのに、たまらなく満たされた気持ちになる。
次いでなぜか泣きたくなった。
この温もりを、あたしは知っているはずだ。そんなことあるわけがないのに、あたしはそう思っていた。
知ってる。知ってるんだ、きっと……。
夢の中で『誰か』があたしに触れる。
その熱を伝えたくて、あたしは『誰か』の名前を呼びたかった。
世界で一番、大切な名前だ。
そう信じているのに、出てこない。喉から音が生まれない。
違う、あの人は。
――彼は、