ほのかな香り
先生は手を後ろに組み、礼儀正しく頭を下げた。
低くてよく通る声。
曇り気のない、真っ直ぐな表情。
全員の目を惹きつける、そんな雰囲気が漂っている。
自由に生きる、
野生の動物のようだった。
「すごく…かっこいい……」
…しまった、
思わず声に出てしまった。
聞こえちゃったかなぁ…と
色葉は周りをちらっと見るけど、
みんな先生のことを
熱っぽく見ていて、
色葉のことは
見えていない様子だった。