ほのかな香り

「よろしくお願いします」
藤崎先生は再び頭を下げた。
なんて礼儀正しい人…。
色葉はその誠実さと凛々しさに
惹かれていた。

先生から目を
離せないでいた色葉に
碧が小声で話しかける。
「ねぇ、色葉。
藤崎先生かっこいいね!」
「本当、かっこいい…!」

この季節によくある会話。

この先何が起こるかなんて
想像もしていなかった、
高校1年生の春ーーー。

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