涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜
「潮音ちゃん、どこ痛い?
見せて?」
「上條君、待って!
ダメなの…今は…」
「保健室行こう。
抱き上げるから、俺の首に掴まって」
必死に胸元を隠す私の腕を、
上條君が掴んだ。
腕を外されそうになり、慌てて叫んだ。
「待って!お願い!
Tシャツが…」
全てを言わない内に、上條君の手が私から離れた。
上條君が自分で離したのではない。
引きはがされたのだ。
彼の腕を掴んで、止めてくれたのは…
夕凪だった。
半泣きの顔で、夕凪を見上げた。
ちゃんとクラスのTシャツに着替えている。
金色の髪が、太陽を浴びて光って見えた。
駆け付けてくれたということは、
夕凪はどこかで私を見ていてくれたらしい。
息を切らせているところを見ると、それはきっと遠い場所。
校舎の窓か屋上か、その辺りで見ていたのだろう。