涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜
夕凪が上條君の腕を捻り上げ、静かな声で怒った。
「潮音に、触んじゃねーよ」
上條君が立ち上がる。
掴まれた腕を振りほどき、夕凪と視線をぶつけて睨み合う。
「貝原に命令される、筋合いないね。
潮音ちゃんはお前の物じゃない。触んなって言う方が…」
上條君は勘違いしている。
夕凪はそんな意味で、触るなと言ったのではない。
私のTシャツが破れていることに、夕凪だけは気付いているからだ。
上條君の言葉を遮り、夕凪が声を荒げた。
「潮音のTシャツ、破れてんだよ!
気付け、バカやろう」
上條君は驚きの目を、私に向けた。
私は依然として地面に丸まったままで、
顔を真っ赤にして、胸元を隠していた。