涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜
夕凪が自分のTシャツを脱いだ。
裸の上半身が、観衆に晒された。
美しく筋肉のついた体は、美術品みたい。
張りのある小麦色の肌に、キラキラ光る汗も綺麗だった。
見ている男子達は、「スッゲー!」と筋肉美を称賛し、
女子の間からは、黄色い声や溜息が聴こえた。
夕凪が脱いだTシャツを、私の頭にズボッと被せた。
体で私を隠しながら上手に着せてくれて、
お陰で下着を晒さずに済んだ。
「右足、捻ったのか?」
と夕凪に聞かれる。
それに頷いた。
夕凪が私を抱え上げた。
「掴まってろ」と言われ、
首に腕を回してしがみついた。
私を横抱きに抱え、夕凪は歩き出す。
佐伯さんの横を通る時、鋭く睨み付けるから、
彼女はビクッと肩を揺らしていた。