涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜
その海の家が、楽しみだった。
アルバイトに、夕凪がいるから……
去年もその前も、夕凪の夏休みは、私と一緒に海の家。
今年はやらないと言われそうで心配したけど、
夕凪が断る前に、父がさりげなく言ってくれた。
「今年もバイト、頼むな。
お前がいないと、うちの店が困るんだよ」
夕凪はこの夏も、海の家でバイトしてくれることになった。
仕事の会話くらいなら……
少しくらい話せる仲に……
どうしても、そう期待してしまう。
ここ数週間、夏休みに入るのを心待ちにしていた……
家に帰り、着替えをする。
タンスを開けて、どの水着を着ようかと考える。
水着はたくさん持っている。
母のお下がり半分と、
父が「潮音に似合いそう!」と言って、
サーフショップの商品を持ってくるからだ。
外は快晴。
真っ青な空に、太陽がギラギラ輝いている。
窓から空を見て、黄色のスポーツタイプのビキニを手に取った。
今日の太陽みたいな色だと思った。