涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜
 


その海の家が、楽しみだった。

アルバイトに、夕凪がいるから……



去年もその前も、夕凪の夏休みは、私と一緒に海の家。


今年はやらないと言われそうで心配したけど、

夕凪が断る前に、父がさりげなく言ってくれた。



「今年もバイト、頼むな。
お前がいないと、うちの店が困るんだよ」




夕凪はこの夏も、海の家でバイトしてくれることになった。



仕事の会話くらいなら……

少しくらい話せる仲に……

どうしても、そう期待してしまう。



ここ数週間、夏休みに入るのを心待ちにしていた……





家に帰り、着替えをする。


タンスを開けて、どの水着を着ようかと考える。



水着はたくさん持っている。


母のお下がり半分と、
父が「潮音に似合いそう!」と言って、

サーフショップの商品を持ってくるからだ。



外は快晴。

真っ青な空に、太陽がギラギラ輝いている。


窓から空を見て、黄色のスポーツタイプのビキニを手に取った。


今日の太陽みたいな色だと思った。



< 132 / 378 >

この作品をシェア

pagetop