涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜
水着を着てその上に、白いTシャツとショートパンツを履く。
白いTシャツには、海の家のロゴが入っている。
青字で書かれた“ブルーウェーブ”は、うちの店の名前。
水着に店のTシャツが、仕事スタイルだ。
家を出る。
自宅一階、サーフショップの店先は、
色とりどりのサーフボードが立てかけられていた。
店内で働く父に、声をかける。
「お父さん、ブルーウェーブ行ってくるね」
「おう、頼むな。
平日だけど、今日は混んでるぞー」
海の家の責任者は父だけど、実際メインで取り仕切っているのは母だ。
普段のんびり主婦の母も、夏だけは忙しい。
もちろん、娘の私も。
砂浜を駆けて、海の家に着いた。
同じようなプレハブの建物が、4軒並んでいる。
その内の真っ青に塗装した目立つ外観が、
うちの店、ブルーウェーブ。