涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜
◇◇◇
夏休みも10日が過ぎた。
8月に入り、暑さはピークに達している。
砂浜は灼熱の太陽に焼かれ、焦げてしまいそう。
朝9時に海の家をオープンさせると、
待ち兼ねていた、海水浴客達が押し寄せる。
ビーチパラソルやビーチベッドが、次々とレンタルされて行き、
もう早、飲み物や軽食のオーダーが入る。
毎年来てくれる、顔なじみのお客さんもいる。
20代半ばの海好きなお兄さんが、バイト中の夕凪に絡んでいた。
「お前、毎年ブルーウェーブで働いてる奴だよな。
今年は金髪か?高校デビューか?
若いな〜ハハッ!
やんちゃすんのも、程々にしとけよ!」
夕凪は髪をクシャクシャにされて困っていた。
お兄さんがビーチに出て行き解放されると、自分の髪を触っていた。
水色のタオルを持ってきて、金髪を隠すように頭に巻いている。