涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜
波を見て、夕凪の涙が止まるのを待っていた。
辺りは薄暗くなり、
二人いたサーファーも、いつの間にか姿を消していた。
何とか涙を収めた夕凪は、海を見ている私の隣に立つ。
一緒に波を見ながら、夕凪が聞いた。
「大切な話し、言ってもいいか?」
「うん」
「あの日言うつもりだったのは、友達の先に進みたいということ。
潮音が好きで、俺だけのものにしたくなった。
きっとプロになって見せるから、ずっと一緒に、俺の隣にいてくれって……
今も、そう思ってる」
夕凪が真面目な顔で、私を見る。
その頬は少し赤かった。
言われることは大体分かっていても、
やっぱり嬉しくて、照れ臭くて、
私も赤くなった。
夕凪の前に右手を出すと、
「握手か?」
そう言って、手を握られた。
「違うよ、指切り!」
夕凪の手を外し、小指と小指を絡ませた。
「約束する。ずっと夕凪の側にいる。
大人になっても、ずっと一緒だよ。
だから…… 私のこと信じていてね」