涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜
指切りしようとしたら、「ヤダ」と言われ、夕凪に手を解かれた。
「どうして?
私のこと、信じてくれないの?」
途端に不安になる私に、
呆れた溜息が降ってくる。
「高校生になって指切りはねぇだろ。
約束するなら、こっちがいい」
夕凪に引き寄せられた。
左手は私の腰に、右手は顎先に。
綺麗な顔がゆっくり近付いてきて、
鼓動がドキドキスピードを上げた。
目を閉じると、唇に柔らかい感触が。
夕凪との初めてのキスに、喜びが込み上げる。
とても甘く感じるのは、回り道をして沢山苦みを味わったせいか。
夕凪もきっと……
キスの合間に目を開けると、茶色の瞳が優しく私を見つめていた。
波音が聴こえる。
この海で、夕凪と一緒に生きていく。
それが、これからの二人の約束になった。
――――……