涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜
信じる気持ち
◇◇◇
翌朝5時。
誰かに呼ばれた気がして、目を覚ました。
「…… お ね ……
しお ね …… 潮 音ー!」
気のせいではないと分かり、寝ぼけはすぐに吹き飛んだ。
ベッドから飛び下りて、カーテンを開ける。
朝日の眩しさに目を細め、全開の窓から見下ろすと、
サーフボード片手に、夕凪が手を振っていた。
驚いて目を擦った。
夕凪がいることを驚いたのではなく、その髪型に驚いた。
夕凪は自分の頭を触って、照れたように笑う。
急いで着替え、外に飛び出した。
「夕凪っ!
その髪、どうしたの!?」
「切った。
違うか、刈った」
昨日まで耳下くらいの金髪だったのに、今朝の夕凪は五分刈りの髪型になっていた。
染めた部分がちょうど切られ、色も元の焦げ茶色。
右耳に三つあったピアスもなく、
穴だけが見えている。