涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜
他のスポーツは、人並み以下の運動神経。
父は夕凪にサーフィンを教え始めた時、私も同時に教えようとした。
すぐに才能ゼロだと気付いたらしい。
父はプロで、母も若い頃は波乗りしていた。
その二人から生まれたのに、残念ながら優れたバランス感覚は遺伝しなかったみたい。
私にバイクは危ない。
その言葉に妙に納得して、今日も大人しくバスに揺られた。
◇◇
学校へ着くと、急に緊張感に襲われた。
気にしているのは、上條君のこと。
「何があっても、夕凪を好きな気持ちは変えられないから……」
昨日そう言って、上條君の告白を断った。
やっぱり落胆していた。
今まで随分と優しくしてくれたのに、告白を断るのは心が痛い。