涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜
 


罪悪感に似たものを感じてしまった。


「ごめんなさい」と何度も謝りながら、泣いてしまった。


そんな時まで、上條君は優しかった。



「謝らないで、俺は大丈夫だから。
貝原と…… 仲直りできるといいな……」


そう言ってくれた。




昨日の上條君とのやり取りを思い出し、

夕凪と付き合えた喜びは、頭の隅に寄せられてしまった。



心が痛く、気まずい。

どんな顔で会えばいいのだろう。



「おはよう」と言っていいのか、

それとも声を掛けるのは、無神経なのか……



靴箱の前で、上靴を手に考え込んでいた。


突っ立っていると、
「どうした?」と後ろに声がする。



夕凪だった。

今着いたようで、ミニバイクのキーをポケットに入れ、

自分の上靴を出していた。



< 199 / 378 >

この作品をシェア

pagetop