涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜
罪悪感に似たものを感じてしまった。
「ごめんなさい」と何度も謝りながら、泣いてしまった。
そんな時まで、上條君は優しかった。
「謝らないで、俺は大丈夫だから。
貝原と…… 仲直りできるといいな……」
そう言ってくれた。
昨日の上條君とのやり取りを思い出し、
夕凪と付き合えた喜びは、頭の隅に寄せられてしまった。
心が痛く、気まずい。
どんな顔で会えばいいのだろう。
「おはよう」と言っていいのか、
それとも声を掛けるのは、無神経なのか……
靴箱の前で、上靴を手に考え込んでいた。
突っ立っていると、
「どうした?」と後ろに声がする。
夕凪だった。
今着いたようで、ミニバイクのキーをポケットに入れ、
自分の上靴を出していた。