涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜
夕凪は、綺麗な顔した男の子。
中性的な顔に似合わず、体は筋肉質で、
中学最後の年で背もすごく伸びた。
段々と格好良くなっていく夕凪に、
子供の頃から一緒にいる私でも、たまにドキドキする。
夕凪は幾らか緊張した面持ちで、私を真っすぐに見て言った。
「潮音(シオネ)… 大切な話しがあるんだ」
「大切な話し?
うん、何の話し?」
「今はちょっと…人がまだいるから…
今日の夜“いつもの場所”に来てくれない?
夕飯食べてからでいいよ。
待ってるから…来て…」
夕凪が言うように、冬の浜辺にも人がいた。
皆、顔見知りのサーファーで、ドライスーツを着て冷たい波に挑んでいる。
夕凪は二人切りで、大切な話しがしたいと言った。
私はコクリ頷いた。
夕凪の頬は赤いけど、きっと私の方が赤いと思う。