涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜
夕凪も上條君を見た。
騒がしい教室で、二人の視線が静かにぶつかる。
先に視線を逸らしたのは上條君。
眉を寄せ、不機嫌そうな顔をした。
上條君が自分の席に座ると、夕凪が立ち上がった。
真っすぐに、彼の所へ歩く。
机を挟んで、向かい合った。
「上條に話しがある。
一緒に来てくれないか?」
夕凪から話しかけるのは、初めてかも知れない。
クラスメイト達の興味が、夕凪の見た目の変化から、行動の変化へと移った。
一緒に来てと言われても、上條君は行かなかった。
夕凪をジロリ睨み上げて言う。
「それって、突然金髪やめた理由と関係ある話?
ここで言えよ」
「ここだと、上條的にマズイだろ……」
「気を遣われるのが嫌いなんだ。
ハッキリ言えばいいよ。
俺は振られて、貝原が付き合うことになったのか?潮音ちゃんと」