涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜
「せまっ。俺、上條よりデカイからな。
しゃがめないか……あ、入った」
井戸の中に二人。
夕凪が言うように、体が大きい分、上條君の時より狭くてキツイ。
上條君は、最初は私に触れないよう頑張ってくれたけど、
夕凪はピッタリと体を寄せて、
私の背中をギュッと強く抱きしめる。
夕凪のやりたい事が、やっと分かった。
ヤキモチを解消するために、
自分も同じことをしようとしているのだ。
髪を耳に掛けられ、首筋をあらわにされた。
夕凪の唇が当たり、そこをペロリと舐められた。
「ゆ、夕凪!舐められてないよ!
上條君は、首に軽くキスしただけで……」
それは、言わなくていい事だった。
写真では
“首筋に顔を埋めている”
それしか分からないから。
うっかり白状してしまい、
夕凪の声が1トーン下がった。
「へぇ、首にキスか……」
「えっと…… その……」
今度こそ、怒らせてしまったのかも……
何と弁解したらいいかと、口ごもっていたら、
首筋にチクリと痛みを感じた。