涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜
父はからかって笑った後、頭をワシワシ撫でてくれた。
夕凪の力になりたいと、いつも思っている。
でも、父のように直接的な力にはなれなくて、
こうやって船着場から応援するしか出来ない。
“夕凪のサーフィンに、私が力を与えている”
父の言葉を真に受けた訳じゃないけど、
少しは支えになっているのかなと、嬉しくて照れ臭くて、頬が赤くなった。
波に挑む夕凪を見つめながら、
父に聞く。
「夕凪は、いつかプロサーファーになれるよね?」
「厳しい世界だが……
父さんは信じてる。
このまま真っすぐに、頑張り続けるならな」
合格率0.2%のプロトライアル。
その厳しい舞台で勝利を掴むのが、夕凪の夢。
それは同時に、私の夢にもなっていた。
青い海をバックに、満面の笑顔で、勝利に跳びはねる……
そんな未来の夕凪の姿を、夢見ていた。