涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜
教室に入ったのは、始業チャイムの数分前。
昨日までお化け屋敷だった教室は、段ボールの壁が一カ所に寄せられ、広くなっていた。
誰がやってくれたか分からないけど、窓から光も入り、パレードの準備がしやすくて助かる。
入って来た私と夕凪に、クラスメイトの視線が集中した。
私に関してまた何か起きたのかと、一瞬ギクリとする。
でも違った。
クラスの男子が言う。
「何だ、お前らか。
やっぱアイツら、来ない気じゃねーの?」
女子も言う。
「どうしよう……
文化祭係がいないと、パレードの準備ができないよ。
何をどうしていいのか、分からないもの」
クラスの中を見回した。
佐伯さん達文化祭係3人が、
まだ登校していなかった。
8時35分に始業開始のチャイムが鳴る。
佐伯さん達が文化祭3日目をボイコットしたと、みんなが理解した。