涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜
もしかしてと、淡い期待を抱いてしまった。
中学生活がもうすぐ終わり、高校生になる私達。
クラスメイトの中には彼氏彼女がいたりして、
そういうのに憧れる年頃でもあった。
小さな時から一緒にいるから、今更という感じだけど、
私は出来るなら、夕凪から告白されたいと願っていた。
夜7時、夕飯を終わらせ急いで家を出た。
期待に胸を膨らませていた。
向かう先は、この町唯一の駄菓子屋。
“駄菓子の富倉”は、閉店時間が早く、店の板戸は固く閉ざされていた。
一階店舗は真っ暗だけど、二階は富倉のおばちゃんの住居なので、
窓から漏れる明かりが、ほのかに辺りを照らしてくれる。
夕凪はまだ来ていなかった。
私は店前のベンチに座る。
ここは毎朝、通学のために二人が待ち合わせている“いつもの場所”
海側に真っすぐ進むと、私の家があり、
反対側に進むと、夕凪の家がある。