涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜
左足の切断という重い現実は、
昨晩本人に伝えられた。
手術後数時間して目覚めた夕凪は、事実を告げられ、
「そっか」
と一言呟いた。
泣いたり叫んだり、怒ったり……
そんな状態を覚悟していたので、
肩すかしを食らった気分だった。
動じない夕凪に、
医師は「心が強いな」
と褒めてくれた。
看護師さんも「立派だね」
と言ってくれた。
うちの両親はホッとした顔で、
夕凪の頭を撫でていた。
そんな中で、私だけは不安がつのった。
私の知っている夕凪は、そんなに強くないと思っていたから……
無理を言って一晩付き添わせてもらった私は、
朝、目覚めた夕凪に
「帰っていいから」と言われた。