涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜
第一歩
◇◇◇
月日は流れ……
夕凪と私は、高校2年生になった。
2年進級時にクラス替えはなく、
前と同じ顔触れ。
その中に、佐伯さんの姿だけがなかった。
夕凪がまだ入院していた時、彼女は両親に付き添われ、一度謝罪に来た。
バイク事故と夕凪の左足のことを聞き、責任を感じて怖くなったそうだ。
静かに病室に入って来た佐伯さんは、今までと別人のように、
ビクビクおどおどして、震えていた。
その姿を見ても、前のように可哀相だと思えない。
私のことなら幾らでも許せるけど、
夕凪を傷付け苦しめたことが、
どうしても許せなかった。
悔しくて悲しくて、言いたいことがたくさんあった。
佐伯さんに詰め寄ろうとして、
夕凪に止められた。
夕凪は低く冷静な声で、佐伯さんに言った。
「謝って欲しくねぇ。
事故ったのは、佐伯の責任じゃねぇから」