涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜
夕食時、食卓テーブルの私の隣には、夕凪が座っている。
制服からラフな部屋着に着替え、
くつろいでいる。
義足も外して、ハーフパンツの左側は途切れた足が丸見えだった。
こうやって一緒に食卓を囲むのは、当たり前の景色。
退院後から夕凪は、私の家で暮らしているから。
母に無理やりサラダを取り分けられ、
「いらねぇって!」
そう怒っている様子も、当たり前になっていた。
そんな平和な夕食時に、父が大きな茶封筒を持ってきて、夕凪に渡した。
「これ何?」
夕凪が聞いても、父は答えない。
ビールをグビリと飲んで、ニヤリ笑うだけ。
夕凪は首を捻りながら、茶封筒から中身を取り出す。
出て来たのは一冊の、サーフィン雑誌だった。