涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜
Epilogue
◇◇◇
2年後、夏。
高校を卒業した私達は、19歳になっていた。
夕凪の運転する車で、東京の新島に来たのは2日前のこと。
目的は“ジャパンプロサーフィンツアー”に出場するためだ。
青空の下、強い風が吹いていた。
荒波が岩場に打ち寄せる。
波の高さは2メートル。
今日も絶好のサーフィン日和だった。
緊張しまくってガチガチの私に対し、
夕凪は口笛なんて吹いて、リラックスしている。
義足を普通のものからサーフィン用へと履き替えて、
「時間だから行ってくる」
とサラリと言った。
「ゆ、夕凪、がが頑張ってね!」
緊張し過ぎてどもってしまい、
笑われた。
「潮音も頑張れ。
ドキドキし過ぎて倒れんじゃねぇぞ。
じゃ、俺は楽しんでくるな」
夕凪はサーフボードを抱え、大会本部のテントに行ってしまった。