涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜
―― 大切な話しがあるんだ…
いつもの場所で…――
今日の放課後に聞いた、夕凪の言葉が蘇る。
どうしても期待してしまう。
頬をピンクに染めて、寒空の中を待っていた。
空は薄雲が広がり、月も星も見えない。
ザザ… ザザザ…
遠くに潮騒が聴こえる。
青いベンチは冷たく、私の体温をすぐに奪ってしまう。
どれくらい、時間が経っただろうか…
空から雫がポタリ落ちてきた。
雨足は徐々に激しくなり、叩くように私を打つ。
駄菓子屋の2階の明かりが消えた。
富倉のおばちゃんは、もう寝る時間のようだ。