涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜
体育祭の出場種目を聞いてきた彼に、首を横に振る。
体育祭は2週間後。
今日の帰りのホームルームまでに、種目を決めなければならない。
窓際の夕凪をチラリ見る。
珍しく、クラスの男子と話していた。
バイク好きなことが幸いし、趣味の合う友達が出来ていた。
一緒に行動するほどの仲ではないが、たまにバイク雑誌を見ながら話していて、
その姿に私はホッとしていた。
私が話し掛けると怒らせてしまうから、
誰か夕凪に話し掛けて欲しいと願っていた。
夕凪を一人ぼっちにしないでと…
隣に座る上條君は、体育祭の話しを続けていた。
サッカー部の彼は、体育祭の種目にサッカーを選んではいけない。
「バスケか、バレーボールか、迷っているんだ」
そう言って、彼は爽やかな笑顔を見せた。