涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜
その話しに相槌を打ちながら、チラリチラリと夕凪を見てしまう。
夕凪は体育祭に、ちゃんと出てくれるだろうか?
中学の時は、張り切っていた。
サーフィンで鍛えた力とバランス感覚は、どのスポーツにも生かされ、
夕凪は体育祭のヒーローだった。
バスケとサッカー、卓球に400メートル走。
4種目も出て、3年生の時には、うちのクラスを優勝に導いてくれた。
高校でも、体育祭には真面目に参加して欲しい。
きっと皆、夕凪を見直すはず。
校則違反の姿でも、本当は不良なんかじゃない。
夕凪の本当の姿を見せるには、体育祭は良いチャンスだった。
そんなことを考え、つい夕凪に視線を止めていた。
すると上條君が椅子をずらして、私と夕凪の間に入ってきた。
ムッとした顔の彼に、ハッと我に返る。
話し掛けてくれた上條君に、失礼なことをしてしまったと気付いた。