また、
どうやら俺は鈴木に叩かれて起きたらしい。
一瞬夢と現実が区別つかない感覚に驚いたが現実は派手に怒られていてそうか程度だ。
しかし鈴木はそうかじゃすまないらしく俺等の学校名物『謝罪参り』を命じられた。
名の通り知りもしない先生方全員にサボりを詫びなければならないのだ。
面倒だがやらなければ職員トイレ掃除1ヶ月の刑が待っている。
面倒なことになった。
先生リストと指定の用紙を渡され俺は『謝罪参り』へ向かった。

『謝罪参り』が終わるまでの素敵な2週間は毎日早めに登校し、誰よりも遅く帰った。
面倒なことが嫌いすぎる俺としては最短で終わらせるために必死だ。
職員トイレ1ヶ月掃除よりは謝罪参りのが楽だ。
しかしダラダラしていては終わらないしこれまた期限が1ヶ月。
早めに終わらせなければならない。
トイレ掃除は毎日やらねば必ずつかまる。
死ぬほど面倒だ。
俺は『謝罪参り』のプリントを鈴木に提出し暗くなった校内を歩いた。

ふと空を見ると茜色だった。
茜色、俺は永遠に思える青空より一瞬だけの茜色が好きだ。
綺麗な空。
深い夜が来る前の灯火。
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