また、

「恵美絶対喰ってやる。」
俺は外を眺めながら変な決意をした。
「つか恵美ちゃん煙草嫌いなら別れたらいいのにな。直よりいい奴いるっしょ。」
「俺全てに於いて普通だからな。」
「だよな。」
そう言いながら賢斗は教科書を取り出した。
「勉強？」
「まぁもう受験ですからね。つか期末もそろそろっしょ？」
「俺今更なんもやんねーけど。」
賢斗は俺を見てため息をついた。
「やればできるんだからしろって。お前の事だから普通のレベルの大学でいいんだろ？」
「おう。バカ言われないぐらいのとこ。」
「普通がそんなにいいかね。」
「普通でいたいってガキの時から思ってたかんな。」

『そう、普通でいれば普通に生まれたら俺は幸せだったから。』

ふと誰かの声がした。
知っている？
いや、知らない。

『普通に憧れた。』

誰だ。
わからない。
知らない。
頭が揺れる。

「・・・！直！！！」
「っ・・・賢斗？」
「どうしたんだよ！」
俺は手に冷や汗をかいていた。
体は熱かったはずなのに冷え、視界がぼやけていた。