また、

声が震えないように、涙が出ないように叫んだ。
「お前なんか大嫌いだ！」
俺は学校を飛び出した。
泣きながら叫びながら走り、家に帰っても泣いた。
久々に聞いた弘平の声。
優しい言葉とか笑い声とかでもなく、一番触れてほしくない部分だった。
俺は身体が枯れるんじゃないかと思うぐらいまで泣いた。

「翔くん、大丈夫？」
「おー、彩。」
「翔くんね、無理してるでしょ？」
「まぁな。」
「どうしたの？」
「んー・・・何だろうなぁ、弘平と喧嘩した。」
「弘ちゃんと？」
「弘平が俺にホモか？って聞くからさ。」
「翔くんは弘ちゃん好きなんでしょ？」
「そうだね。」
「友情以上のものがあるから泣いてたんでしょ。」
「彩ね、そんなにヅカヅカと人のメンタル的なものに入っちゃダメだよ。」
「でも間違ってないでしょ。」
「そうかもね。」
「あのね、翔くん。人間は子孫を残すために恋愛をするんじゃないんだよ。それは生き物の中で人間だけの特権なの。だから翔くんは間違ってないよ。」
「・・・彩は嫌な感じに成長しちゃったね。」
「とりあえず翔くん泣かないで。」
「よく考えるよ。」
よくできた妹だ。