王子様のイイナリ~出会い~
保健室に着いて、まずは神田氷雅の手当てをすることにした。


「ちょっと腫れてるね…」



「おもいっきり叩かれたからな」


「ごめん…」




「キスして治せよ」


「ばかっ…!」


「ははっ」



無邪気に笑ってるとこ、初めて見たかも。



「昨日…」


「ん?」


「昨日、嫌がらせが収まるまでっていったけど…」


「ああ…」



「やっぱり、付き合うなら…真面目に付き合いたいの」



「俺は最初からマジだったぜ?」


「え?」


「こんな面白い女と早々別れてたまるかよ」



「面白い女ってなによ…」



「いや~、さっきのやりとり見てて…なかなか勝ち気な女だなぁって。そっちのほうが好みだけどな」



「は…?ていうか、見てたの!?」


「ああ」


「はやく助けてよ!!」


「いや~、面白かったから」



なにそれ…。




「神田くんも叩かれずにすんだかもしれないのに…」


「氷雅」

「え?」



「氷雅って呼べよ」



「…氷雅?」


「そう。それでいい」


満足気に笑う氷雅。




最初からあいつのイイナリ。



いつだって…。


今日も…


明日も…


私は王子様のイイナリ。



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