少女マンガ×天然少年
「あれっ、デカイ音がしたと思ったら。なにしてんの?にーちゃんたち」
座り込んで頭をさする俺らに、ぱちぱちと瞬きを繰り返す彩乃。
ちなみに、彩乃は14才中2。
「彩…。隼人のバカがあたしを突き落として…。ったた…」
麻里奈の言葉に、彩乃が俺を睨む。
コイツは、麻里奈が大好きなのだ。
「ちげーよ!んま、俺のせいだけど…」
「にーちゃんのばか!」
「麻里奈、大丈夫か?」
「まぁ、へーき」
俺のせいだから、謝らないとな、一応。
「もぉー、私、麻里姉のために氷持ってくる!」
走り去った妹を見送って、立ち上がる。
つか、俺に氷はくれないのか。
兄貴だぞ兄貴。
「……さっきのは、無しだからな…」
「わかってるわよ」
"さっき"
落ちる寸前、麻里奈が怪我をしないよう体制を変えた。
そのせいで、お互いに向かい合う形になって。
唇同士が、触れた。
べ、別に、俺はなんとも思ってないし!
まだ座り込んでいる麻里奈を置いて、先にリビングに入った。
ドキドキしてんのは、麻里奈のせいじゃない。
キスのせいじゃない。
階段から落ちたショックでだ。
そう、ちがうちがう。