少女マンガ×天然少年
「いい?これは、お兄ちゃんの恋愛参考書よ!」
腰に手を当て、ビシッと指先を俺に向ける彩乃。
大丈夫かなコイツ。
「はいはい、人に指差さない」
すると妹は、むくっと頬を膨らませ言った。
「麻里姉に試すとかどう?実験台させてもらうとか!」
「バカ言え」
ぺしっと妹の頭を叩きため息をつく。
さっきのキス思い出しちゃったじゃん。
「ん?なに赤くなってんの?あ、麻里姉のこと本気で好きだったりして!」
きゃーっと叫びながら跳び跳ねる彩乃を見ていると
もうなんか色々あほらしくなってくる。
「あのなぁ、麻里奈は幼馴染みなんだから、今更ねぇよ」
「ふふ、お兄ちゃんツンデレだね」
いちいちムカつくガキだなこのやろぉぉぉ…。
「も、いいからいい加減出てけぇ!」
「きゃーっ、お兄ちゃんが怒ったーぁ!」
どたどたっと音を立てて彩乃が部屋を出ていく。
あれで中2なのか!
ガキじゃん!
まぁ…、俺も、人のこと言えないかもだけど…。
若かりし日のことを回想していると、カチャ、とは再びドアが開く音がした。
「あれ、麻里奈!?」
「そんな驚くことないでしょーが」
スウェット姿で濡れた髪を乾かしながら入ってくる。
くそ、彩乃が変なこと言うから意識しちゃうんだけど!