恋音
教室に着くと、たった今先生が出席確認を始めたところだった。
そぉっと席に着いたところで、
「滝沢明日香」
と呼ばれる。
「はーい」と返事をすると、
「お前今来ただろ。遅刻だ。
新学期くらいきちんと来ようとか思わないのか?」
あと髪の毛とそのスカート丈も。
と、いらない付け足しをされながらも、私の目は魁斗を探していた。
いや、探す必要もなかった。
なぜなら魁斗は・・・隣の席でスマホをいじっていたから。
でも、今日の魁斗はいつもと違っていた。
黒に戻った髪に、いつもはつけているネックレスのない綺麗な首。
なんでだろうと思ってじっと見ていると、スマホがぶーっとなる。
見ると魁斗からのメールだ。
『何見てんだよ?』
魁斗を見ると目が返信しろと言っている。
『魁斗,なんか今日、きちんとしてるね?
いつものチャラ男はどこ行った??』
『まあ、明日香みたいに新学期早々からチャラくしないよww
この不良がぁぁ!!』
『・・すみませんね。不良で。』
そんなやり取りをしている間に、先生の話も終わっていた。
トイレに行って、体育館に移動しようとした時、悠也がかけてきた。
「明日香、良かった。
一緒のクラスだな。」
「だね。」
「あっあのさ・・・」
「明日香ぁ~」
向こうから私を呼ぶ奈々の声。
「ゴメン。あとで。
部活ないっしょ?」
「あぁ、オッケイ・・・」
「マジごめん。じゃ。
なに~奈々ぁ~」
でも、この日は始業式というのに悠也の所属するテニス部は練習があったのだった。