琥珀の世界

「ただいま。」

重い足取りで家に帰り、いつもより重く感じるドアを開ける。返事は帰ってこないけど。
今日も部活動はサボり。私が行かなくたって何も変わらないでしょ?
帰ってきたのは4:15だから、母が帰ってくる6:00くらいまで自由だね。
あぁ...もう寝よう。逃げよう。



「柚子♪柚子ったら!」

...ん?

「ねぇ、気付いてよ!」

誰?

「俺は... !!」

え?

「俺... !!」

声が遠退いて行く。
誰、なの?




「柚子!!柚子!起きなさい!」

突然聞こえた声で目が覚める。
あぁもう...目覚め最悪。

「...おかえり。」

「あんたはまたこんな時間に寝て...生活に気を付けなさい!あ、今日テスト返って来たでしょ?出しなさい。」

自分の喋りたい事だけ一方的に喋ってリビングに戻る母。不快極まりない。

「はい、テスト。」

「.....何なのこの点数!!」

また始まった。お説教タイム。
何時間説教したって聞いてないから意味ないですよー。

「じゃあ、こうしよう。今度のテスト、成績がBランクまで上がったら、柚子が一番欲しいものを買ってあげる。」

物で釣る作戦?思い付かないよ、欲しいもの。

その日は、いつもより早く寝た。
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