[中]余命24時間
もう1つは
娘の…あたしの命が、あと24時間だということ…。
正確に言えば、あと24時間もないのかもしれない…。
あたしと手を繋いでいる翔を、じろりと睨むお父さん。
今まであたしのことなんて興味ないみたいな素振りを見せていたのに、こういう時はきちんと"父親"の顔になるんだ。
「美音、こいつは誰だ?」
お父さんは翔を前にして、敵意をむき出している。
それに怯えるかのように、翔は更に固まっていく。
ように、見えたのに───…。
「美音さんとお付き合いさせて頂いてる、橋本 翔です。
今日はご両親にお話があって来ました」
あたしよりも10㎝も背の高い翔を見上げると、そこには見たことない凛々しい顔をした彼がいた。
翔だって、緊張してるはずなのに。
その勇気は、あたしの為だって思っても、いいのかな?
「………」
お父さんは状況を察したようで、無言でソファに座る。