[中]余命24時間


やっとのことで、自分の病気のことだけを話し終えたあたしに続いて、翔が結婚のことを切りだそうとしたときだった。


お父さんが、低い声を出したのは。



「嘘、だろ…?」



お父さんは俯いていて、表情を読みとることはできない。


お父さんがあたしの話を信じたくないのは、痛いほど分かる。


あたしだって、今までずっと信じていた"医者"の言葉を、数時間前には信じられなかったのだから。


けれど翔が、"一緒にいよう"って言ってくれたから。


あたしは自分を取り戻すことが出来たんだ。


だからお父さんにも、ちゃんと理解してほしい。


そしてみんなが"あたし"を認めた上で、最高の思い出を作りたい。


だから───…




「なあ、母さん。嘘だろ?美音が死ぬなんて……。
そんなの…」



こんなお父さん、見たことない。


あたしが知ってるお父さんは

威厳があって 厳しくて 怖いけれど

お母さんの誕生日、結婚記念日、クリスマスに、新婚旅行をした日まで覚えていて。



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