[中]余命24時間


あたしの誕生日、入学式に加えて、七夕やバレンタインなど、

行事という行事のほとんどを頭にいれて、そのたびにうかれている

そんな、お父さんだった。


それなのに、今目の前にいる、俯いていて暗い顔をしているこの人は、本当にお父さんなのだろうか?



…ああ、そうか。あたしがそんな顔をさせちゃってるんだね………。



「お父さん」



あたしがそんな顔をさせちゃっているのなら

それは、自分で解決するしかない。


誰の為でもなく、自分の為に。



「もう1つ、話があるの」



お父さんはもう、言葉を発する気力さえも失っていた。


俯いたまま、何も言わない。



「あたし、この人…翔と、付き合ってるの。
それで、あたし死ぬ前に、翔と結婚したいの」



本当は。この台詞は、翔が言う予定だった。


余命のことはあたしが伝えて、結婚のことは翔が伝える、と。


それぞれに分担して言うことで、2人の想いを、分かってもらえるのではないかって。



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