[中]余命24時間
だけどうなだれたお父さんを見たとき、自分で言わなくちゃ、と思った。
自分のお父さんには、自分の口で伝えたいって。
「お父さん、お願い。
あたしたちの結婚を、許してほしいの」
さっきまでのあたしとは、もう違う。
泣いてばかりだったあの頃の自分には、別れを告げて。
これが自分なんだって、誇れるように。
凛とした目つきで、お父さんの頭を見る。
お父さんなら、きっとあたしの気持ちを分かってくれるはず。
分かってほしい。
血の繋がった、"親子"だから───…。
そう、心から思うのに、神様はいつだって1番の願いを叶えてはくれない。
フラリと立ち上がったお父さんは、結局何も言わずに寝室に入ってしまった。
お母さんの時と同じく、あっさり許してもらえるわけがないとは、分かっていた。
それでも、最後まで聞いてほしかった。
あたしの気持ちを、知ってほしかった。