[中]余命24時間
PM10:00~本音~
「ただいまー」
ドライヤーで乾かしたものの、まだほんのりと濡れたままの髪を、タオルでこすりながら部屋に入る。
「おかえり」
部屋には、既にジャージに身を包んだ翔の姿。
ずっとずっと、憧れだった。
同じ部屋に、翔がいること。
翔と同じ屋根の下で時間を過ごすこと。
こんな形でその夢が叶うとは、ちょっと前のあたしには想像できなかったと思う。
それでもあたしは、今が幸せだって、胸を張ってそう言える。
「…何してんの?」
ボフン。と、柔らかさが自慢のベッドに体を沈め、翔の手元を見る。
よくよく考えれば、あたしがお風呂に行く前から、翔はしきりに手を動かしている。
宿題か何かをしているのだろう、と気にも止めていなかった。
「…内緒」
覗きこもうとするあたしを避けるように、"それ"にかぶさる翔。
そんなに隠されたら、逆に気になるし。
「何で内緒なの?」