[中]余命24時間
「何でも。後で見せるからあっち行ってろよ」
「えー、後で見せるんだったら今でもいいじゃん」
「だめ」
「なんで」
「だめなものはだめなの」
どんなにあたしが問いつめても、翔はいっこうに見せようとはしてくれない。
…どうして。"一緒にいよう" っていうあの約束は、嘘だったの?
翔がわからない。
「もぉいい」
「は?」
「おやすみ!」
一旦は近づいた距離が、急に離れ出す。
いまだに机に被さっている翔を無視して、あたしは思い切り布団にもぐった。
翔に聞こえるように、掛け布団をバフン、と頭から被って。
いつもそう。あたしばっかり、好きで。
15歳の夏、初めて翔に出逢って、あたしは本当の"好き"を知った。
たまたま翔が、教育実習であたしのクラスに来たのがきっかけ。
おじさんばっかの高校に、現役の大学生が来るということは、高校生にとって物凄く大きな刺激で。