[中]余命24時間
───《橋本翔は、里村美音に永遠の愛を誓います》───
たった1枚の紙切れに、堂々と書かれた約束。
几帳面な字で、はっきりと。
『…ばかじゃないの…』
口ではそう言いながらも、あたしの弱い涙腺は、再び涙を通そうとしていた。
そんなことは、もちろん翔には内緒だけど。
『婚姻届とまではいかないけど…
俺なりの、美音への愛の証』
翔は、普段はこんな、キザなことは言わない。
だから、彼の顔が真っ赤だったことは、言うまでもないだろう。
だけど、あたしに永遠の約束をくれた。
こんなあたしを、嫌いにならないでいてくれた。
ねえ、翔は覚えてるのかな?
あたしたちの心が、初めて繋がった日のことを。
そう言えばあの日は、今日みたいにじめじめしていなくて
カランと晴れた、冬の始まりの日だったね。
あの日がなければ今のあたしたちはいなくて
こんなに胸が苦しくなることも、なかっただろう。