[中]余命24時間
「…あたし。ずっとずっと、翔のこと、純粋に好きでいたい。
ダメかなあ……?」
ただ言葉を並べているだけなのに、胸からこみ上げてくるこの感情は、何なんだろう。
「ダメな訳ないじゃん。
美音が、俺のことずっと好きでいてくれる。
それ以上に嬉しいことなんてないよ」
翔。
そう言ってくれて、ありがとう。
その言葉を聞けて、よかった。
その一言で、あたしは決心がついたよ。
神様。あたしの命を奪おうとするあなたが、正直憎いです。
これから先、隣にいるこの人と生きていきたい、そう思うのに
それさえも叶えてくれないあなたなんて大嫌い。
神様。あなたはあたしの最後の願いを叶えることができますか?
あたしは、翔を、たった1人の大切な人を守れる力だけが欲しいです───…。
「…美音…」
「翔…?」
目の前にあるこの笑顔を守りたい。
守りぬきたい。
「好きだよ────…」
どちらともなく交わした、最後の口づけを
密かに輝く月だけが見ていた。