[中]余命24時間
足にぐっと力を込めて、前に進もうとした瞬間。
『―――美音!』
どこからか、あたしを呼ぶような声がした。
その声に、一瞬だけ振り向く。
もちろんそこに、彼がいるわけなんてない。
自然と頬が緩み、心が暖かい気持ちに包まれた。
―――そして
眩しい太陽に
大きな海に
あたしは翼を広げて、力いっぱい踏み出した。
《翔へ
突然、こんなことをしてごめんなさい。
最後まで生きることを諦めてしまって、
ごめんなさい。
弱虫で、ごめんなさい。
翔はあの日、言ってくれました。
「俺がいるから大丈夫だよ」と。
あの言葉が、私にとってどれだけ嬉しかったか。
こんなところには書ききれません。
つらい時、
苦しい時、
悲しいとき、
転びそうになったとき、
挫折しそうになった時、
壊れそうになった時、
翔はあたしの隣で支えてくれました。