夜空とオモチャ箱。
「お前、オレの弟とまた喧嘩したなー」
庭を突き抜けて、倉庫の前でバイクを磨いていた幼なじみの元へ行く。
何でも形から入る幼なじみは、灰色のつなぎの服に汚れたタオルを首にかけてご機嫌だった。
キスを見られてた、とは言えずに口ごもってしまう。
私はまだ中学生で、
幼なじみのお兄ちゃんはもう高校生。
小さい頃はずっと2人で遊んでた。
さっき告白してきた弟を2人でイジメたりしながら。
「バイクはもう飽きたんじゃなかったの? 車買うからバイトするって言ってた癖に」
バイクは真っ青な青で塗られていた。
所々に黄色の線も入っていく。
「車はまだ免許取れないから先送りだ。BMWもセルシオもレクサスもバイトじゃ買えるレベルじゃねーし」
オレにはバイクで十分だ♪、と鼻歌混じりでバイクを磨く。
けど、多分すぐに飽きちゃうんだ。
野球もサッカーもすぐ止めたし。
オリンピックの後はその時々のスポーツに影響されるけど、1ヶ月も続かない。
スケボーも結局乗りこなせないまま。
倉庫には、最初だけ手入れしていた真新しいオモチャが沢山入っている。
「浮気は死ななきゃ治らない病気らしいよ」
「ぶっ」
お兄ちゃんは勢いよく鼻歌を吹き飛ばした。