夜空とオモチャ箱。
「けど、お前が誰かとキスするとか耐えられないし」
勝手な事、めちゃくちゃ言ってる。
自分は彼女が凄い好きなのに、私の事も好きなんて。
「お前が憧れているほど、俺はしっかりしてねぇよな。なんでお前が中学生になるまで待てなかったんだろ」
しゃがみ込んで、下を向く。
乾いた笑顔が痛々しい。
「あんたの弟に告られたけど、断った方がいいかもね」
私は小さくなった情けない男の頭を撫でた。
あんなに欲しかった人がこんなに身近にいて、私が好きだと言っているのに。
「……なんでさ? 俺より誠実で良い奴じゃん」
「だって、私今キスしたい」
こんな情けない人なのに、キスしたいと思ってる。
他に好きな人がいても、自分も大切に思ってくれてるなら良いかなっとか思ってしまってる。
「私も最低な人みたい」
そう言って、顔を無理矢理上げさせてキスをした。
全ては手に入らないこの男を、
情けなくてけれど傍に居たいと思ってしまう。
だから、笑って好きだよって教えておいた。
空は、真っ青な夜に染まっていた。