お隣さん。
*
それから数週間が経ち、大学にも一人暮らしにも少しずつ慣れてきた。
どうやらこのマンション、住んでいる人がいるにはいるらしいがあまり使われていないらしい。
拠点はいるけど滅多に使わない。
だから家賃が高いところはもったいない。
そんな風に思っている人たちの集まりだとか。
まともに住んでいるのは俺と安藤さんと他に数人だけだと大家さんに言われた。
そんなに暮らしてない人がいるなら、わざわざ俺と安藤さんを隣に住まわせる必要性はなかっただろ。
そう思いながらも、だから安藤さんは壁が薄いことに気づいていなかったんだな、と納得した。
俺が気を遣っているから、結構ボーッとしている彼女は今も気づきそうにない。
そんな安藤さんは朝から出かけている、今日は日曜日。
俺はベッドに寝転がり、パラパラと雑誌をめくっていた。
彼女のいない間に掃除機も洗濯も済ませてしまった俺はもうやる気は出そうにない。
昼時だけど、今日はもう飯を作るのは面倒だ。