お隣さん。
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あの後は近くで1番時間を潰せて居心地のいい場所、──市の図書館にいた。
引越ししてこちらに来てから行ったことはなかったから、この機会にと図書の貸出券も作り、今日読んだミステリーの続きを借りてきて。
例のことを除けば、なかなかにいい休日になったと思う。
料理は苦手だし、今日はもうさすがにやる気がおきない。
まだ夕方だけどコンビニで晩飯の弁当をひとつ買って、それと本を一冊抱えてマンションに戻って来た。
「一馬(かずま)、早よ行こうや。
晩ご飯遅なってしまうよ」
俺の隣の301号室。
玄関先で扉を開けたまま、中の誰かに声をかける安藤さんがいた。
「うわ」
思わず口をついて出たのはあまりにも失礼な声。
タイミング、最悪だな……。
「あ、本田さん。おかえりなさい」
「ただいま、です」
歯切れの悪い俺の返事に首を傾げる安藤さん。
すみません、気まずいんです。