私の中で男になって
並ぶ前は私のほうがノリ気で、いざコースターに乗ると翔君のほうが元気になる


「こういうのってさ、本当は俺がさ、かっこよくさ、こう、怖がる彼女を引っ張っていく
もんだよね」

翔君はよくこれをいう。

翔君はかっこよく決まったことなんてめったにしないから

男の子がかっこつけるところをいつも私が横取りしてしまう

「いいじゃーん、翔君にそういうの期待してないもん」

皮肉や悪い意味で言ったわけじゃない

私は翔君にかっこよさを求めているわけじゃない

「そうやってねぇ、俺を少しずつ傷つけるんだから」


「んーごめんねごめんね」

そういって私は翔君の頭を子供をあやす時みたいになでる
私の手が本当に簡単に届いてしまうくらいの位置に翔君の頭はあって

私が頭をなでるたびに翔君はふてくされた顔をする






わたしはかっこいい彼氏や背が高い彼氏を求めているんじゃないこと

きちんと伝わってるかな

きっと翔君も私のことを好いてくれている理由は

単なるかわいさや優しさ的なものではないと思う


美人なわけでも柔和な性格なわけでもない私を

翔君のような人が
どうしてここまでしてくれるのかわからない

照れて絶対に口には出してくれないけど、


翔君の思いは

ちゃんと私に伝わってくる



自分のどこが愛されているのかを明示することは

この際大して重要なことじゃないと思う

こんなにも

こんなにも翔君の愛がつたわってくるのなら





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